宇宙暦796年、帝国暦487年、難攻不落と言われたイゼルローン要塞を味方の血を一滴も流さずに奪いとることに成功した同盟軍の戦略家ヤン・ウェンリーは、以後、戦火が遠のくものと思っていた。しかし、政治家たちにより更なる帝国軍への遠征が決定し、ヤンは同盟軍で最年少の大将となり、イゼルローン要塞司令官となった。一方、銀河帝国では、皇帝フリードリヒ四世が後継者を定めぬまま崩御したことで、次期皇帝の座をめぐって混乱が広がっていた。ラインハルトは国務尚書(大臣)リヒテンラーデ候と組み、皇帝の孫、エルウィン・ヨーゼフを皇位に就けた。蚊帳の外に置かれた帝国最大の門閥貴族、ブラウンシュバイク公は、ラインハルトらに反感をもつ貴族たちを糾合し、「リプシュタット盟約」を結んだ。銀河帝国を二分する大規模な内乱が起こったのだ。
ラインハルトは、自由惑星同盟軍が、銀河帝国の内乱状態に乗じて攻め込んでくることを危惧し、ひとつの布石を打つ。それは自由惑星同盟軍内部の不平分子を扇動し、政府に対しクーデターを起こさせるという大胆なものだった。
ラインハルトの意図を察したヤンだったが、最前線にいる身としては対応も限られ、ついにクーデターが発生してしまう。
銀河帝国、自由惑星同盟。ふたつの勢力が自らのなかの敵を討つとき、新たな悲劇が生まれるのだった。