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【田中】こちらこそよろしくお願いします。

はい。初めてです。本当は今頃は机に向かって、ある作品の第四章を書いているはずなんですが、そちらはちょっと置いておいて。

いえ、緊張しているわけではないんです。ちょっと、いま持病で薬を飲んでいるので、その副作用で口の中が乾いていて声がかすれるんです。お聞き苦しい声で申し訳ありません。

僕は事務所の社長に何度も騙されているので、「またまたー」といって信じなかったんです（笑）。後で本当だとわかり、ちょっとヤンにしては格好良すぎるんではないかしらと（笑）。ありがたくて身の縮む思いです。

この頃、とみに記憶力がおとろえておりますけど（笑）。覚えている限りはお答えします。

歴史を見てみると、善と悪との戦いというのはまず見られず、互いに自分の正義を掲げて戦っているという例があまりに多いんです。そういう話が一つぐらいあってもいいのではないかと思いました。自身2作目で、何書いてもいいよという感じだったので、それだったら書かなきゃ損だと。そういう感じでしたね。

はい。一応何巻書いても書けるだけの中身は揃えておこうと思いました。ただ、売れなかったら一巻で終わりだし、3巻、5巻、最終的には10巻書かせていただくことになったんですけれど、どうせ1巻で終わるだろうから、その中に将来続きが書けるんだったら、そのための芽は埋めておこうと思いまして。ストーリーの展開とかキャラクターの端的な個性とかそういうのは書けるだけ書いて詰め込んだという覚えがあります。

恐れ入ります。僕がこの作品を書いたころはソ連という国があったんです。あれだけの超大国が実際になくなっちゃったりして、国家という人為的なものというのは、歴史の流れの中で必要がなくなったら消えていくんだなと改めて感じたことがあります。

それは恐れ入ります。わが身を省みて、僕はどう考えても権力をにぎって人を弾圧する側には回れないなあと、多分拷問を受けて痛い目に会う前に白状してしまうタイプだなと考えまして。命を懸けて信念を貫く人もいれば、泣きべそかきながら結果的に友を裏切ってしまう人もいるだろうし、その後者のような生き方をまったく否定してしまう程、こっちは偉くないし、なるべくだったらそういう人も、救いとは言いませんが、そういう人の立場や言い分も、できれば書きたいなと思いまして。